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最高裁判所第二小法廷 昭和26年(れ)723号 判決

本籍並びに住居

香川県綾歌郡山内村大字柏原五六三番地

農業

後藤留義

昭和二年七月一五日生

右の者に対する窃盗被告事件について昭和二六年二月一四日日高松高等裁判所の言渡した判決に対し被告人の原審弁護人本田熊一から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人大山菊治、同本田熊一の上告趣意第一点及び弁護人本田熊一の追加上告趣意第一点について。

記録を精査しても、所論被告人の自白が、所論のように強制にもとずくものであることはみとめられない。論旨は理由がない。

弁護人本田熊一の追加上告趣意第二点について。

刑訴応急措置法一二条一項の規定は、憲法三七条に違反するものでないこと、従つて、被告人に反対尋問の機会を与えないで取り調べた証人の供述を録取した書類を証拠とすることも、必ずしも常に違憲とはいえないことは、既に当裁判所の判例とするところであつて、今これを変更する必要をみとめない。(昭和二三年(れ)八三三号同二四年五月一八日、最高裁判所大法廷判決)論旨は採用することはできない。

右各上告趣意のその余の論旨はいずれも事実誤認の主張であつて上告の適法な理由とならない。その他本件において刑訴四一一条を適用すべきかともみとめられない。

よつて刑訴施行法三条の二刑訴法四〇八条により主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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